緊急・応急対策の段階


県庁内に臨時の「チーム」を編成

 東日本大震災の発災直後に、宮城県では県庁内で災害復旧に対応する臨時組織として、業務内容ごとに専門的に対応する「チーム制」を立ち上げ、NN部局を再編した。運営はチーム長会議で行い、出先機関に即時にメールで伝達した。チーム数は、業務の増加や内容の多様化に応じて拡充していった。

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個票:県庁内の臨時的なチーム体制
20201 臨時組織 チーム体制 県庁 宮城県.pdf
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資料:宮城県における東日本大震災発災後1年の時系列的取り組み
2011.03~2012.03.pdf
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出先機関でも臨時の「班」を編成

 出先機関では発災直後の現場対応のため、4名程度の「班」を編成し班長を置いた。班は工種別に構成し、災害状況の把握に当たった。班体制とすることで担当者の仕事の内容・範囲が明確になり、情報共有がしやすく班内の業務分担もスムーズにできた。


被害の全体像は、空中写真と現地踏査の組合わせで把握

 大規模災害での被害状況の把握に、空中写真は有効な調査手段であるが、限界もあることを踏まえ、踏査等による現場情報によって補足する。組織的・体系的な情報収集・活用によって、作業の重複・混雑を防止して効率化を図る。


資材不足に備えた迅速な対応

 大規模災害の発災によって復旧関連の資材・道具・機械等は、需要が集中して入手困難となる。このため、発災直後に、迅速に業者等とも連絡して検討し、必要なものの一覧を作成して確保対策を講じる。また、特殊で緊急時に入手が困難な資材等は、関連部局とも連携して確保に努める   new16/14


緊急点検での安全対策

ため池・ダムの緊急点検では、出発時に遭難回避のための安全対策を確認する。
①明るい内の行動: 暗くなると道路の崩壊、倒壊物や地盤の亀裂等の危険の確認が困難になる。
②複数班に分かれて行動: 余震の発生等による遭難の可能性があるため、行き先が山間地等である場合、同じ現場でも、複数班に分かれて行動することで全員の遭難を回避する。一方が遭難しても、後の一方が救助に当たることができる。
③車の頭を避難方向に向けて駐車: 点検・調査を行う場合、下車位置と被災現場が離れていることも多いことから、極力時間をかけずに避難するため、進行方向に向けて駐車する。
④携帯ラジオの活用: 作業中も携帯用ラジオの電源を入れ、常に情報を入手する。

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安全を考慮した調査時の装備
20903 調査用具 津波被災地区 瓦礫.pdf
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紙地図の雨天時対策が作業能率を向上する

 現地調査・査定時には紙地図が不可欠である。しかし、紙地図は雨天時に破損しやすく、取り扱いが難しいほか、記入も困難であるなどの欠点がある。これを緩和するため、現場では以下のような対応策が採られた。①防水・撥水用紙による複製地図の作成、②加圧式ボールペンの活用、③ビニール製図面ケースの利用、④ビニール製ゴミ袋の活用 new 1605

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紙地図の雨天時対策
20902 調査用具 紙地図の保護 雨天時対策.pdf
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ため池漏水の測定と記録の方法

 ため池で漏水・パイピングがあった場合、水量を計測すると共に周辺状況を記録する。水量計測において三角堰がない・利用できない場合、雨樋(近くに竹があれば二つ割りにして利用)や段ボール(ビニール袋があれば被せる)をV字型にするなどの工夫をする。パイピングの場所や漏水等の範囲を示すために、場合によっては合成着色料を用いて着色する。記録は、写真と共にデジタルカメラのビデオ機能等を使って動画撮影も行う。


ため池、道路等の亀裂被害痕を石灰水注入で保全

 地震で生じたため池・アースダム・道路等の亀裂は、時間がたつとふさがって確認が困難になり、災害復旧の対象から外れてしまうことがある。これを防ぐため、石灰水を注入し、亀裂の痕跡を保全する。作業は早いほど効果は高い。

 

参照:堀 俊和:地震被災後のため池点検、(独)農村工学研究所    http://www.naro.affrc.go.jp/org/nkk/2011fukkoushien/fukkyuuhouhou/dam_tameike/tameike.pdf 


不明者捜索時のポンプ排水費用は国負担、市町村負担はない

 不明者捜索のための応急排水の必要がある時、市町村長は、費用負担が市町村になるのではないかと考えて、排水をためらうことがある。災害復旧事業であれば市町村負担が生じるが、緊急の不明者捜索は災害救助法に基づいて行うため、都道府県が負担し、市町村負担は生じない。このことを告げて迅速な対応につなげる。


臨時に電動ポンプで排水する時は商用電源へ切り替える

 排水用の電動ポンプを稼働する場合、商用電源への切り替えを迅速に行わないと、発電機のリース代や燃料代が増大するため注意する。電源の切り替えには時間が掛かることがあり、時間の浪費は費用の増大に繋がるため、関係団体等にも迅速に注意喚起を行う。


応急復旧は随意契約で

 応急復旧は、効果的な緊急対応をするため随意契約を原則とした。随意契約の効果は以下のようである。

①競争入札の時間や手間を省略でき、作業が迅速化する。

②現場を熟知している地元業者を選定できるため、効果的・効率的である   new16/14

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震災緊急対策/20702 応急復旧 随意契約 地元業者.pdf
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応急復旧の対象

東日本大震災で応急復旧が求められたのは、以下の3つ。

①湛水排除に関わる排水機場のポンプ機能回復
②堤防の破堤部の締め切り
③当該年の作付けへの対応(パイプライン・用水路の点検、排水条件の確認等)


応急復旧におけるパイプライン破損箇所特定の試掘費用は市町村負担

 灌漑期が間近であると、潅漑用水路は応急復旧によって通水を迅速に確保することが求められる。用水のパイプライン幹線がヒューム管であると、管のズレなどによる漏水も生じるため、被災箇所の特定は困難で試掘が必要となる。しかし、試掘費用は災害復旧事業の対象外であるため、市町村負担となる   new16/14

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震災緊急対策/20708 応急復旧 パイプライン 漏水 被災箇所特定.pdf
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応急本復旧の実施は周辺の被害状況を勘案して慎重に

 大規模地震では地盤災害が広範に生じ、NN部局関連の施設・基盤も複合的な被害を受けるため、個別対象だけを取りだす復旧対応は手直しを生じるため避ける必要がある。基幹的な施設等では応急本復旧が選択されることがあるが、周辺との関連で手直しの必要性が生じた部分は災害復旧事業の対象とならず、市町村負担となる。周辺の関連施設・基盤の被害状況も勘案し、先ずは応急仮復旧を選択するなどの慎重な対応を行う   new16/14

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震災緊急対策/20706 応急復旧 地盤災害 複合的被害 応急本復旧 応急仮復旧
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纏まった避難が農家の意思決定を助ける

 避難や仮設住宅入居においては、住民相互の距離が近くなる集落単位を原則とする。NN部局の災害復旧では同意・合意の必要なものが多いため、避難先が分散していると情報の伝達・交流は困難化し、意思決定は遅延する。発災後の避難対策の決定においては、同一集落の住民が近傍に避難することが県の災害復旧本部の基本方針となるよう提言し、実現を図る。   new 1605

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集落で纏まった避難の効用
21003 避難 集落 コミュニティ 合意形成.pdf
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大規模災害時の労働時間管理による過重労働回避

 大規模災害の現場では、職員は長期の激務環境におかれて長時間労働が常態化する。取り分け、発災直後の数ヶ月は限界を超える状態が持続する。長期の過重労働は肉体的・精神的負担が大きいため健康上のリスクは増大するほか、疲労の蓄積は現場での注意力を低下させるため事故のリスク増大にも繋がるため、組織的な短縮化対策を講じる   new 6/14

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震災緊急対策/21202 緊急時体制 労務管理 過重労働 負担軽減.pdf
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